8月16日(日)で終わってしまうのですけれど、渋谷Bunkamuraザ・ミュージアムに「奇想の王国 だまし絵展」を見に行ってきました。
「部屋の壁に掛かっている、それも端が剥げかかっている絵」を描いた絵、「棚からはみ出た手紙や羽根ペン、ピンで留められた写真」を描いた絵。と、文字で書くとわかりづらいですね。
壁に掛かっていたりする主に生活用品を同サイズで描いて、思わず本物と見違えてしまうような絵が流行してたことがありました。画家の名前で知っている人はいなかったのですが、みなさん素晴らしい技をお持ちです。油絵の技術は17世紀には極まってしまっていた。と言うことなのでしょう。さて次はどこへ行く?
その中で心に残ったのは、デ・スコット・エヴァンズ「インコへのオマージュ」です。
割れたガラスケースの中に入った、剥製の黄緑のインコちゃんは作者の自画像とも言われています。しみじみと惹かれるものがあり、私はこの絵が欲しいです。絵はやっぱりハートかなと思いました。
インコちゃんの画像は弐代目青い日記帳さんブログをご覧下さい。
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1788
今回の目玉の展示は、初来日のジュゼッペ・アルチンボルド「ウェルトゥムヌス(ルドルフ2世)」1590年頃 油彩・板 スコークロステル城(スウェーデン)所蔵です。
34種類の野菜、果物で国王の顔を描いたものです。図版で見ていた時は「気持ち悪い、国王が喜んだなんて本当かしら?趣味悪い」と思っていたのですが、本物を見て納得。
自然に対する敬意、豊穣に対する感謝が感じられる、まじめな作品でした。描写にも厚みがありました。名前が残っている方だけのことはあります。
ほか、「歌川豊国」「ダリ」「エッシャー」「マルセル・デュシャン」と有名どころが続き、なんと言っても「マグリット」が素晴らしい。この方の絵画は、単にダブルイメージといった単純なものではなく、作品ごとに違った発想で描かれています。「何が見えるもので、何を見ていないのか。書いてあるから真実なのか。今認識しているものは、はたして現か幻か何なのか」……「白紙委任状」という画題そのものが素晴らしい。
いつも背広にネクタイで、毎日9時から17時まで制作されていたという、マグリットさん。クールです。
様々なスタイルの絵画を見て、それは鑑賞者の欲求に答える為であったり、画家のオリジナリティの発露であったりするわけですが、絵画の意味について色々と考えさせられた展覧会でした。
こちらの展覧会は、いつづやさんのブログ6月14日~6月18日分で詳しく紹介されていますので、ご覧になって下さい
http://izucul.cocolog-nifty.com/balance/2009/06/index.html